私の旦那様は特殊捜査官
ボンヤリとしていた視界が、鮮明になってく。

「琴美!」

私の目に映ったのは、私の愛する人。


「・・・秀」

私は一気に力が抜け、その場に座り込む。

秀は、私と勇気をひしと抱きしめる。


「こんなに冷たくなって…どこにいたんだ」

心配そうな声色で秀が問いかけてくる。


「・・・ねぇ、何で警察官の制服着てるの?」

「…エ?待てよ、オレは、ずっと駐在所勤務だっただろ?」


「…私、犯人から逃げられたんだね?」

「…琴美?」


…私の記憶は、ずっと前、犯人に捕まったところに戻ってしまったようだった。


「結は?結は元気?」

「琴美、お前・・・」

「勇気が凄く怖がってるの…お願い抱きしめてあげて」

今の記憶と、昔の記憶が入り混じって、頭の中が混乱していた。


「琴美、落ち着け、・・・大丈夫だ、犯人は捕まったよ。

結も元気だ、家で琴美や勇気の帰りを待ってる…だから、帰ろう」

そう言った秀は、私をおぶると、勇気と手を繋いだ。

「ママ、気分が悪いから、歩いてやれるな?勇気は男の子だからな。

強いもんな」

秀の言葉に、勇気が笑顔で頷いた。
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