羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》


(かっこいい奴が着れば、そりゃ、似合うんだろうけどなあ……)


 ロングヘアーで吊り目の悪人面には、さすがに似合わない。

ああいうものは、天野田くらいの優男風が着た方が、味が出るというものだ。


「俺は、あれだ。
質素な服がお似合いだから」

「質素って、武士?」

「武士じゃねえけど、たぶん、ああいう服は、俺には似合わない」


 酒童は断言してみせたが、陽頼はカーテンを閉めて試着室に引っ込んだかと思うと、さっともとの格好に戻って、酒童の手を引いた。


「試着でもしてみよ?面白そうだし」

「お、面白そう?」


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