羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
十四:闇に溶ける







 昔は、オリンピックだとか国際社会だとか、そういうものの関係もあって、国際結婚も多くあったらしい。


 けれど、いまは国際結婚などほとんどない。


 なにしろ西洋妖怪の活動時間を避けるようになったため、空港は夜の間は機能しない。

 だから、飛行機が飛ぶ時間も限られてくる。

夜に飛び立つことはもちろん、夜になる直前に帰ってくることも禁忌だ。


“化け物に侵された国・日本”


 海外でも日本はその名で知られ、異邦人の観光客や移住民の数はめっきり減ってしまった。

 それでも貿易船だけが日本を訪れることができたのは、面妖にも海にだけは西洋妖怪は生息していなかったことが幸いしたからだろう。

しかしそんな貿易船も、日本に品を送ったら、すたこらさっさと国に帰ってしまう。


 だからこの時代、

“異邦人の血を色濃く継ぐ人間の存在”

 というのは、すこぶる珍しいものだった。



 だからだろう。



 僕は自分がアメリカ人とのクォーターだと明かすことはなかった。



 もし話せば、人間の好奇の眼にさらされるのは、火を見るよりも明らかだったからだ。












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