エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
尚道は半泣きになりながら頭を押さえ、甲高い声で怒鳴った。

「美穂さん! 僕はあなたの何なんですか!」

「こっちが聞きたいわよっ! アンタ、あたしの何なのよ!」

怒鳴り返すと、尚道は急に眉尻を下げ、

「僕は……」

と、言い淀んだ。

悲しそうに俯いた尚道が、背中を丸め、ギャラリーへ戻って行く。

ちょっぴり胸が痛んだ。

―――やっぱり、画廊の前までヒロトに送ってもらったのはマズかった。

いつものクセで車外に出て、『さよなら』のべーゼを交わしてしまった。

乗務の後だったし、疲れてたのよ。

五分だって歩きたくなかったの。

仕方ないじゃない。
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