幼なじみは年の差7歳


昇降口で靴を履き替え、学校を出る。

部活動をやっていた生徒ももうほとんど居ないようだ。


「あれっ……?」


冬馬兄ちゃんの、車――。


「冬馬兄ちゃん!!」



駆け寄る私にお兄ちゃんは笑みを浮かべる。


「おばさんに聞いたらまだ帰ってないって言うから、もしかしたらまだ学校かなと思って」


お兄ちゃんはずっと私のこと、待っててくれた……。



「馬鹿……学校出て、家に向かってる途中だったらどうすんの?」


学校に居るなんてわからなかったはず。

寄り道して家に帰るかもしれないのに。


それなのに、待っててくれたんだ。


「お前の通りそうな道は全部見て回ったよ。
それでも見つからなかったから待ってた。

例え美和が学校に居なくても、美和が帰ったと知らせが来るまでは待ってるつもりだったよ」


……やっぱり、馬鹿。

なんでそんなに優しいのよ。


ただの幼なじみで、それ以上は何もないのに。


なんで優しくするの。



我慢してたのに。

……涙が止まらなくなっちゃうよ。




.
< 64 / 231 >

この作品をシェア

pagetop