私と兄の関係
「あのさしつこく聞くんだけど、健斗は本当に由梨ちゃんの事何にも思ってないの?」

雅人が俺に聞いて来た。

「お前、しつこいなぁ。由梨の事は、もう何とも思ってないって言ってるだろ」

俺は、嘘を付いた。

本当は、由梨の事がまだ好きなのに……

でも、2人が両思いなのに俺が邪魔する資格ない。

だから俺の気持ちは、封印する。

そう思ってたのに……

「そっかぁ。じゃあ、俺文化祭の時告白するな。応援頼むな」

雅人が言った。

「おお。絶対、お前なら大丈夫。由梨も雅人の事、好きだから」

俺がそう言うと雅人は、「フォロー、ありがとな。俺、自信ついたよ。健斗は、本当にいいやつだな」と言った。

俺、雅人が思ってる程いいやつじゃねぇよ。

お前の事、かげで応援しているくせに由梨の事が好きな男だぞ?

それにお前の事、憎いとも思ってるんだぞ?

それでもいいやつと言えるか?

ただ、傷つくのが怖くて応援してるだけだよ。

なっ、情けない男だろ?

だから俺の事、いいやつって言うなよ。

「そんな事ねぇよ。まぁ、ありがとな」

俺は、笑って言った。

作り笑い……

俺は、雅人に作り笑いばかりしてた。

もう何回したんだろう?

でも、仕方ないんだよ。

由梨と雅人が付き合えるためだから……

俺は、ただ我慢してるだけだ。

“応援してる”

口では、そう簡単に言える。

でも、実際雅人と由梨を応援するのは苦しい……

俺が我慢すれば2人は、付き合える。

いつしか俺は、そう思うようになった。

だから俺は、我慢しとけばいいんだ。
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