ソリューションby君にスイートな運命を
6.菜摘とミシェル
あたしは、ふとミシェルとルカリオの年齢が気になった。

「ミシェルて700歳なんだよね?超絶おじいちゃん……あわわ……」

ミシェルはフッと笑い、

「君達の世界の年齢にたとえたら、22歳だ。ルカリオは勿論、君達の世界と同じ年の取り方だ」

と、言った。

「若い国王だな……」

直哉が呟いた。

「ハタチの時に、国王になった」

ミシェルは言葉を続け、

「君達のことも、聞きたいのだが……」

と、あたし達3人に視線を向けた。

「じゃあ、俺から。俺は広川直哉。高2……17歳だ。他には?」

「特には無いな……。一つ聞きたい。化学は得意なのか?」

いやいや、直哉は学年ベスト3の、多分、大学も国立を推薦で通る位ですよ……。

と、あたしが腹の中で説明する横で、

「高校は一応、進学校だし、勉強は出来るほうかもしれないけど、現実に何かが起こると、俺の頭なんか、使い物にならないな……」

と、おそらく化学式を覚えてない事に、自分を責めるように言った。

「でも!」

黙って聞いていた菜摘が、声を上げた。

「ミシェル……は、時空を移動できるのでしょう?だったら、国王の病気の特効薬が出来てる未来へ行けば良かったじゃない?」

菜摘は、まるで直哉を庇うように、ミシェルに詰め寄った。

あたしは、ミシェルに見惚れて、そんなことを考えていなかった。


自己嫌悪した。

「DNAてあるだろう?私たちの世界の住民は、そんな果てしない未来の薬には、DNA自体が、まだ耐えられる構造になっていない。耐性が出来て、その上に新薬が出来るのが、悲しい現実だ。君達の世界内での、今より少し過去に発見されたものが、受け入れられる最高レベルなのだ」

菜摘は更に続けた。

「じゃあ、発見された時期に移動したほうが早かったのじゃない?発見者に会いに行くとか……」

ミシェルは優雅に手を振った。

「戦争中に発見されたものだ。その時代に移動するのは出来るが、怪我などしたら、時間の無駄だ。君達のいる時代が、一番、適切だと判断した」
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