学校一のモテ男といきなり同居
自転車に乗って、郁実のお腹に腕をまわしてピタッとくっつく。



「おっ、素直~。いつもそうならいいのに」




「落とさないでよね」




照れ隠しに、反抗的な言い方をしてしまう。



「おう」



郁実はあたしの気持ちを知ってか知らぬか、そのまま自転車を走らせた。












門を出たところで、カメラを構えた報道陣に遭遇。



「井上くん!!ちょっとでいいから取材させてくれないかな!?」



声をかけられたけど、郁実はその場をスル―。



「無視して大丈夫!?」



「別にもう話すことないし。どうせ、またヒーロー扱いだろ?」



「……え?」



てっきり、ヒーローって呼ばれて喜んでると思ったから、その言い方が意外に思えた。



「真央を助けたのは、ヒーローになりたかったわけでもなんでもないから。彼氏として、当然のことだろ?」



ドキッ。



頼もしい言葉に、胸が高鳴る。



返事を返すように、



ギュッと腕に力をこめた……。



< 578 / 978 >

この作品をシェア

pagetop