学校一のモテ男といきなり同居
ふたりで玄関を出て、自転車の後ろに乗せてもらった。




「こうやって一緒に学校に行くの、懐かしいな…」




「うん。落とさないでね…」




郁実のお腹に腕をまわし、キュッとする。




「あったりまえ」




「フフッ」




たったこれだけのやりとりだけど、すごく幸せ。




たくさんの言葉を交わさなくても、以前のふたりに戻れる。




ギュッとしてると、好きが溢れてくる気がする。




揺れる背中に頬を押しつけて、目を閉じる。




そうして、



今日が最後になるであろう郁実との登校時間に、




あたしはどっぷり浸っていた。




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