学校一のモテ男といきなり同居
帰る途中、郁実に色々確認しておきたいことがあった。




「ねえ、郁実……あの男の子は見つかった?」




「ああ、よく行く店があってそこにいた。なんとか説得して、戻って来ることになった」




「そうなんだ……よかったね。高木さんも安心したよね」




「まーな。俺もバイトがあったりで、アイツの穴埋めらんねーし焦った。俺のせいで、事務所の信用落とすとこだったし」




「そっか…あのね、おじさんとの約束…高木さんから、聞いたの。一応認めてくれてるんだね」




「あ、聞いた?そか…」




郁実はハニかみ、視線を下に落とす。




「勉強なら、あたしがみようか?」




「……へ?」




「高木さんに教えてもらってるんだよね、お互い疲れてるだろうし、あたしなら…全然時間あるし……」




高木さんとふたりっきりにさせたくない。




そう思うけど、嫉妬心剥き出しでカッコ悪いし、ストレートに言うことができなかった。




「お前が?そんな頭良くねーくせによく言う」




「なっ…そんな言い方ないでしょ!?」




「フッ……真央は、自分の進学のことだけ考えてろ。受験だろ、頑張れよ」




ドキッ。




だからあんな言い方を?




あたしの受験なんて、この際どうでもいい。




高木さんと二人っきりになられる方が、嫌なの。




黙っていると、郁実があたしの背中をポンと叩く。



< 876 / 978 >

この作品をシェア

pagetop