チョコよりも甘く

葵の心情

「田山葵さーん」




名前を呼ばれ、あたしはお母さんと一緒に部屋に入った。






目の前にいるのは40代くらいの女の医師。
そう、あたしは産婦人科に来ている。





最近気持ち悪くなることが多くなった。
妊娠という言葉しか当てはまらない。






心当たりは1つ―――。
      翔と生でヤったこと。







浮気はしたことないし、初めても翔だった。
だからあたしは翔しか知らない。






それなのに、翔は俺じゃないとか言うし。
ホント情けなくなっちゃうよ…






「妊娠2ヶ月半ですね」

医師はそう言うとパソコンを見た。



お母さんは泣き崩れることもなく、真剣に話を聞いていた。




「中絶するなら早めのほうがいいですけど…。出産を経験していない方の場合、人工中絶は難しく、それが3ヶ月となりますと…」


医師は説明をし始めた。






そしてあたしの頭の中では、中絶という言葉がぐるぐると回っていた。

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