チョコよりも甘く
翔はその後、お母さんに、今日はもうどうにもならないからとりあえず帰りなさい、と言われ、家へと帰っていった。


葵は、信じていたのに、認めてくれなかったお父さんに対して嫌悪を覚えた。



同じ想いをしたお父さんなら分かってくれると思っていたのに…。


葵は、泣きやまないお母さんと、腕組みをして何かを考え込んでいるお父さんを残して、リビングを去った。






―――バタン

あたしはベッドに思いっ切りダイブし、枕に顔を押しつけた。


昔から親にさえ弱みを見せなかったあたしは、いつもこうやって枕で泣き声を防音していた。




お父さんとお母さんの話し声が聞こえる。

その声は次第に大きくなり、ついには怒鳴り声へと変わった。



仲がよく、喧嘩など滅多にしない二人をこんな風にしてしまったことに罪悪感を感じると共に、今日の疲れがどっと押し寄せ、いつの間にか眠りに落ちていた。
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