嘘の誓いとLOVE RING


「やめて!何をするの!?」

思い切り体を押し返す。

一体、何を考えてこんな事をしているのか。

軽蔑を込めて睨みつけると、凌祐は眉を下げた。

「どうして、そんなに嫌がるんだ?昨日、ずっと調子が悪かったんだろ?唯香から聞いたんだ。ごめんな。全然気付かなくて。心配で見に来たんだよ。ゆうべ、出てきてくれなかったろ?」

それでゆうべ、私の部屋を訪れたのか。

それにしても、よくぬけぬけと、佐倉さんから聞いたなどと言えるものだ。

「白々しい心配なんてしないでよ」

鼻で笑いながら、ありったけの嫌みを込めた。

「白々しい?」

そんな私の反応に、凌祐は戸惑っている。

「そうよ。本当は心配なんてしてないくせに!」

佐倉さんも佐倉さんだ。

何を企んで、そんな事を凌祐に言ったのだろう。

確かに、調子の悪いそぶりは見せたけれど、いちいち凌祐に話すほどではない。

それを言うなんて、私に対する優越感からか。

腹立たしさでいっぱいになり、さらに凌祐の体を押していた。

「出て行ってくれる?迷惑なの。夜中に来られたり、こうやって待ち伏せされたり」

「美亜?」

凌祐は、さらに戸惑いを見せている。

だけど、私は鍵を開けると、凌祐を追い出す様にその体を押し続けた。

「凌祐。今日、帰ったら話があるから。マンションで待っていて」

それだけ伝えると、凌祐を部屋から完全に押し出し、再びドアを閉めたのだった。

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