嘘の誓いとLOVE RING


「それでは誓いのキスを」

キス!?

そうだ。

チャペルの式で、誓いのキスをするのは当然だ。

だけど、凌祐とキスをするなんて、生まれて初めて。

心の中で動揺する私とは反対に、いたって落ち着いている凌祐は、ベールをゆっくりと上げると、唇を重ねてきた。

その瞬間、みんなのカメラから一斉にフラッシュがたかれる。

そんなに人のキスシーンを撮りたいのか。

恥ずかしさでいっぱいだ。

「早く、離れてよ」

みんなには聞こえない様に、ほとんど篭った声でそう言うと、ようやく凌祐は離れたのだった。

まったく、いつまでもキスをするなんて、どういうつもりだろう。

小さく睨みつけると、凌祐はしれっとした顔で前へ向き直った。

そして、滞りなく式を終えた私たちは、みんなの祝福の言葉と共に、生花のシャワーを浴びたのだった。

「おめでとう、美亜(みあ)!羨ましい!」

そんな言葉に、ニコリと笑顔で返す自分が、本当にバカらしいったらない。

私たちは、愛し合って結婚するのではない。

親の命令で、仕方なく結婚をするのだから。

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