嘘の誓いとLOVE RING


「ったく、何だよ忘れ物って。早く帰りたいんだけどな」

部屋へ入るなり、圭祐はため息混じりに恨み言を口にする。

「ちょっとくらい、付き合ってくれてもいいでしょ?それとも、恋人との約束だった?」

嫌みたっぷりに言うと、圭祐は口をつむいだ。

どうやら、恋人との約束ではないらしい。

というより、恋人がいるのかも不明だ。

昔から、凌祐も圭祐もプライベートは謎だったから。

「あのね、話があるの。凌祐と佐倉さんの事で」

「兄貴と佐倉さん?」

私の言葉は圭祐の興味をそそったのか、目を丸くして食いついてきた。

まったく圭祐も、悪趣味だ。

だけど、圭祐なら凌祐の事をよく知っているはず。

だから、昼間の出来事を話したのだった。

きわめつけは、さっきの佐倉さんの接触。

凌祐をたしなめる為とはいえ、いちいち腕に触れるものだろうか。

すると、黙って聞いていた圭祐が、腕を組み「うーん」と唸ったのだった。

「ねえ、圭祐。何か心当たりない?私、佐倉さんが引っ掛かるのよね」

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