嘘の誓いとLOVE RING


会議中の部屋に、息を殺して入る。

佐倉さんと二人、お茶を持って入ると、何やら難しい経営方針などを話し合っている最中だった。

圭祐は、凌祐の隣でタブレットを見ながら眉をしかめているし、他の重役たちも険しい表情で説明を聞いている。

そしてその説明は、凌祐が行っていて、真剣そのものの表情にこちらも背筋が伸びる思いだ。

仕事をしている凌祐を、まともに見たのは初めてだけれど、普段見る顔とは全然違っていた。

こんなプレッシャーを感じる中で、私には到底理解不能な難しい単語を並べて、会社を動かす凌祐を見直してしまう。

もう少し見ていたい気持ちを持ちつつ会議室を出ると、佐倉さんに思わず言っていたのだった。

「凌祐たちって、毎日あんな風に緊張感のある中で仕事をしているんですね」

すると、佐倉さんは小さく微笑んで答えてくれた。

「ええ。だからこそ、私は社長の支えになりたいんです。仕事の中での癒しには、私でなければなれないから…」

その言葉には、“秘書”として以外の意味もあるのではないかと、疑わずにはいられなかった。

だって、佐倉さんの口調には、どこか挑発めいたものを感じたから。

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