溺愛系と天然系が恋しました!


― ごきゅんっ…


余りの緊張感に、息を飲み込んだあたしの喉は変な音を上げた。

きーち先輩は、まるでスローモーションのように、ゆっくりと一歩、そしてまた一歩と歩み進める。

それがどんなホラー映画よりも恐ろしくて、あたしは頬をひくひくとさせながら、無理矢理にも笑って見せた。

…ていうか、あまりの怖さに笑わずにいられないっていうのが本音だ。


「きっ、きーち先輩。…お久しぶりです!」


あたしなりの、精一杯の台詞。

そんなあたしの言葉を聞いたきーち先輩は、
何かの【スイッチ】を押したかの様な、
マシンガントーク、開始っ。


「彼氏に向かって"お久しぶり"だなんて、少し可笑しいと思わない?いや、少しじゃない。普通?いや、普通じゃないよね。多大?過度?尋常じゃないが、正確な言葉な気がする。…て、気がするんじゃなくて、確かな事だと思うのだよ。美憂くん。」


き、きーち先輩が一人問答している…
レア過ぎるけど、口調まで変わってますよ?!
美憂"くん"て…。

怖いっ!怖すぎですっ!!


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