わたし、巫女ですから



「情けない話だね~」

 藤から事情を聞いて、開口一番そう言ったのは牡丹だ。

 藤の話によると、飴玉を買いに駄菓子屋に行く途中、道の端でわんわん泣いている鬼を見かけて声を掛けたところ、『毎年毎年節分になる度に大豆を投げつけられて追い立てられるのがもうイヤだ!』と泣きつかれ、仕方なく神社に連れてきたそうな。

「ええと、それでーー鬼さん?」

「助之平つうもんです」

「スケベなの~?」

「いや、すけのべえ、です」

「助平さん」

「の、です!の!」

「のさん!」

「牡丹。話が進まないからやめろ」

 楓にたしなめられて、牡丹が渋々口をつぐむ。

「えと。それで、助さん」

「いや、別にカクさん出てきませんよ……?」

「正確にはどう言ったご依頼ですか?」

「……。いやぁ、そのですねーー」

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