溺愛協奏曲
「あの・・・どうかしました?」



「あ・・いえ・・これですよね、どうぞ」




そっと女の子の手にヨーグルトを渡す



女の子はあたしに満々の笑みを浮かべ、お礼を言うとレジへと向かった



車いすで売店を出ていく女の子の後姿を目で追う




やっぱり似てる・・・




激似・・・とまではいかないけど



まあこの世の中には自分と似ている人が三人いるって言うし・・・





似てる人がいたっておかしくないよね




そういえば・・・あの写真のひとって蓮とどういう関係なんだろ




なんだか聞くのが怖くて頭から写真の女の人を振り払うように急いで会計を済ませて



病室へと急いだ



聞くのが怖いなんて弱虫だな




溜息をつき心のなかにしまい込む




これじゃいけないってわかってはいるんだけど・・・・





ゆっくり歩いて病室の前まで来ると黒スーツの組員さん数人





あたしに気が付くと深々と頭を下げる




「「「こんにちはっす」」」




「こ・・・・こんにちは」




こういうのいまだに慣れなくって・・・どうなんだろ




でも、この人たちがいるってことはやっぱり来てるんだよね




そっとドアを開けるとやっぱり不機嫌全開の蓮



腕組みをしてソファに座ってる




その姿はたとえて言うなら・・・百獣の王ライオン



「どこいってた?いねえから館内放送して組員で捜索させようと


してたとこだぞ、お前は病人なんだわかってんのか」




「わかってます・・・・ごめんなさい」




平謝りのあたしに溜息をつく



するとあっという間に点滴を引きずるあたしを膝の上に乗せた



「れ・・・蓮!」





「黙れ・・どんだけ心配したかわかってんのか」





ぎゅっとウエストに回る腕に力が入った



自分の顔が赤くなるのがわかる




外には組員さんがいるし誰が入ってくるかわかんないのに・・・




この体勢はかなり恥ずかしい




「蓮!離してよ・・・ここ病院・・」





「少し黙ってろ・・ったくどんだけ心配させれば気が済むんだ


それにこんなの付いてたらなんにもできねえし・・・



莉子・・わかってんのか?」




ウエストに回る腕に力が入る



蓮の甘い香りに酔いしれて頭から写真の女の人の影を追い払うように



蓮の手をぎゅっと力を込めて握りしめる




「あんまりふらふらしてるようなら監禁すっぞ、俺にしか

目に入んねえようにして鎖でつなぐか?」



「ふふっ・・・ごめんね売店に行ってただけなのに・・


監禁は勘弁だな」




蓮のこんな言葉も嬉しいと感じてしまうあたしは相当、蓮に惚れているみたい




病室のなかは面会時間ぎりぎりまで甘い雰囲気に包まれていた




























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