溺愛協奏曲
ベットの傍のソファに座ると冷蔵庫から冷たい麦茶を出して紙コップに注いだ




あたしの隣には蓮その隣には車いすの玲奈ちゃん




向かいのソファには涼くんと拓巳くんが座る




しばしの沈黙が続いたかと思うと玲奈ちゃんが一番最初に口を開いた




「拓巳くん、涼くん驚かせてごめんなさい、あのね、あたし死んだことに

なってたけど実はずっと昏睡状態で一年前にやっと意識が戻ったの・・・・


最近やっとリハビリ始めて莉子ちゃんとも偶然そこで知り合ったっていうか・・・



内緒にしててごめんなさい」



そう言って頭を下げる玲奈ちゃん


死んだことになってたって・・・・どういうこと?



怪訝な表情で見つめるあたしに気付いた玲奈ちゃんは泣き笑いの表情で微笑んだ





「莉子ちゃんにはどういうことかわからないよね、でもこの話をしたら


莉子ちゃんが離れていくかもしれないけど、あたし蓮兄の大事な人



にずっと逢ってみたかったの・・・・だからこの病院で莉子ちゃんと偶然


逢ってこんな人が蓮兄の大事なひとだったらいいなってずっと思ってたから



蓮兄の彼女が莉子ちゃんだって知ってすごくうれしかった・・・・だから



あたしの過去を莉子ちゃんにも知って欲しいの、あたしにとっても莉子



ちゃんは大切な人だから・・・」




曇りのない澄んだ瞳で見つめる玲奈ちゃんの顔をじっと見つめた




小さな胸にどれだけのものを抱えているんだろう




そう考えただけであたしの胸は張り裂けそうになった








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