溺愛協奏曲
病室に着くと待っていたかのように泣き出した弟君



由美子さんは初めての子とは思えないほどてきぱきとおむつを替えて




母乳を飲ませる・・・なにやら今は授乳用の服がちゃんとあるらしく




母乳を飲ませていてもおっぱいが見えないようになっていてすぐ傍で




由美子さんが飲ませているけどまったく胸が見えない!



なんて素晴らしい




でも一生懸命おっぱいを飲む弟君の頭だけはちらりと見えるのであたしは




そっと撫でてしまった・・・・だって可愛いんだもん





「莉子ちゃん・・・今日はありがとうね忙しいのにわざわざ来てくれて・・・」




「いいえ!赤ちゃん見たかったし由美子さんにも逢いたかったんで今日は

とっても楽しみにしてたんです、でも赤ちゃんとっても可愛いですね~」



「ふふっ、入院したりして大変だったけど自分の子供がこんなに可愛いとは

思わなかった・・・莉子ちゃんも子供を産んだらわかるわよ」



由美子さんはそう言うと赤ちゃんの背中をとんとんと叩いてげっぷをさせた




このげっぷを必ずさせなきゃいけないらしく、首がすわってないのでこれが



慣れるまで結構大変だったとか・・・・由美子さんの色白で蒸気した顔を見つめる



化粧っ気のない顔だけど優しい笑みを浮かべるその姿はもう母親で・・・




あたしを捨てた母親はどうだったんだろう・・・なんてことを考えて




頭の中で打ち消した・・・だって考えても仕方のないこと




溜息をついて赤ちゃんを見つめた









< 312 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop