溺愛協奏曲
「お嬢様、お客様がいらしてますがこちらに通しても大丈夫でしょうか」



「は?お客様?ちょっと今取り込み中だから待ってもらってよ」




彼女はいらいらした様子で溜息をついた・・・・・と同時に再びのノック音



部屋に響き渡たる音に舌打ちをすると紗枝子さんは足早に歩き出した




青いドレスを翻し歩く姿はまるでモデルさんのウオーキングのよう




彼女が開けたドアの前には意外な人物が立って居た



「お・・・・おじいさま!!どうしてここに?」



「どうしてもこうしてもわしのたった一人の孫娘の婚約披露パーティじゃぞ?


そんな大事な日にこないでいつ行くんじゃ、わしも引退したとはいえ坊城の人間


じゃから会社のことも多少気にはなるし、紗枝子の婚約相手も一目見たくてきたんじゃが



なにか取り込み中だったか」



「い・・・いいえ!!そんなことないわ、おじいさま」





紗江子さんは焦った口調でその人を前にしどろもどろの様子



おじいさまってことは坊城グループの創始者?



そんなことが頭の中を過ったけれど・・・・この声どこかで聞いたような?



こちらからは紗枝子さんに隠れて姿がみえないけどどんな人なんだろう



興味深々のあたしは蓮の腕の中を抜け出すと入り口の方を見つめた




「て・・・・哲さん?!」



入り口に立って居たのはスーツ姿の哲さんで・・・




え・・・・な、なんでここに哲さんがいるの?



白髪頭の哲さんはあたしを見るとにっこり微笑んで手を振っている



すっかり混乱していたあたしは訳もわからずその場に立ちすくんでいた


















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