秘蜜の秘め事
…とりあえず、今日は午後からの講義で幸いだった。

「眠い…」

寝不足のあまり、わたしは呟いた。

おまけに腰痛ときた。

胸元まで伸びた赤茶色の髪を、春風が揺らした。

中園梨衣、大学1年生。

売れっ子の恋愛小説家、古沢真とは隣人。

そして、高校1年生の頃からつきあっている恋人だ。

まあ、順調な方だと思う。

朝も夜も…ね?

「眠い…」

一言また小さく呟いて、校舎の中へと足を踏み入れた。

前から背の高い男の人が歩いてきた。

それに対し、わたしは肩をすくめ、彼が通り過ぎるのを待った。
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