秘蜜の秘め事
「それで、わたしにお手伝いを…と言うことですか?」

話を全て聞いてそう言ったわたしに、
「…やっぱり、ダメかい?」

古沢さんは困ったように言った。

「お手伝いの内容にもよりますけど…」

わたしは呟くように返した。

小説家と言う職業も楽じゃないらしい。

大学生の気持ちは何とか書けるけど、高校生の気持ちは書けないみたいだ。

「そうだな…。

梨衣ちゃんの学校では何が流行っているとか、好きな芸能人とか…それを僕に教えて欲しいと言うことかな。

かっこいい言い方をするなら、“情報屋”と言うところだね」

古沢さんが説明してくれた。

梨衣ちゃん――中園さんと名字で呼ばれるかと思った。

お手伝いの内容は、彼に女子高生事情と言うものを提供すればいい訳か。
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