秘蜜の秘め事
震える声で告げるように言った梨衣に向かって、僕は手を伸ばした。

本当は彼女を抱きしめて、キスをしてあげたいところだけど…場所も場所である。

梨衣は伸ばした僕の手をつないだ。

「でも、さっきの真とお母さんの話を聞いて不安じゃなくなった。

むしろ、幸せなんだって思った。

お母さんに愛されて、真にも愛されて…わたしはいつの間にか世界で1番幸せな人になってたんだって、そう思った」

「そうか」

僕はうなずいて答えて、梨衣とつないでいる手を強く握った。

「僕は、離したくないと思った」

僕は言った。

「世界で1番の宝物を離したくないと思った」

その瞬間、梨衣の目から涙がこぼれ落ちた。
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