青い猫の花嫁

「トワのおじいさんって、そんなに悪いの?」

「え?」


隣に並ぶのを遠慮して、少しだけ後ろに下がったあたしの言葉に、郁くんは意外そうに振り返った。


「トワくんに……聞いてませんか?」



あたしが知ってると思ってたんだ……。

そうだよね。
三國の人たちには、仮にもお嫁さんだと思われてるんだし……。

て、そもそもあたし、三國の事も藍原の事も、何も知らないんだ。



「あ……あの、でもこれは仕方ないんですよ。トワくんだけじゃなくてトワくんのおじいさんだってそれを受け入れてるし……、それに、藍原家のみんなもそれが定めだって」

「定め?」


何を受け入れてるんだろう。

俯いていたあたしを見て、焦ったように一気にそう言った郁くんはあたしの言葉に、ハッとして立ち止まった。

……。



「郁くん……、こんなふうにみんなでトワの家に行ってもいいのかな?」


郁くんは、その綺麗な瞳を揺らして、言葉を詰まらせた。


「僕には……わかりません……」



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