青い猫の花嫁

「逃げるなんて、ずるいよね?」

「え?あ……」


トワの声にハッと瞬きをした。

たった今、息が吸えるようになったみたいに、一気に肺が空気で満たされていく。


「真子はわかってないんだ」


わかってない?


「なにを……」


言おうとして、言葉達はトワの中に吸い込まれてしまった。

ジワリと広がる甘い感覚に、体の奥から痺れていく。


角度を変えて深くキスを落とされて。
このまま食べられちゃうんじゃないかって、そう錯覚してしまいそうになった。

頭の芯が、ぼぅっとする。


「……ん、トワ……」


魔法でもかけられたんじゃないだろうか……。
立っているのがやっとで、必死にトワの服にしがみついた。


初めてのトワからのくちづけにうっとりしていると、髪に絡んでいた手がスルリと解けた。




「俺をけしかけるの、ほんとヤメテ」

「へ?」



けしかける?




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