青い猫の花嫁

外に出ると、ふと空を見上げた。

あれ?雪……降ってないや……。
それどころかやっぱり今日は暖かい。



……ん?


と、その時不意に視線を感じて顔を上げた。
辺りを見渡してみても、そこには誰もいなくて……。



あ……。

蕾を膨らませてる梅の木の枝に、小さな小鳥の姿が見えた。

なんだ、コトリさんだったの……。
ホッと胸をなで下ろして、改めてその小鳥を見上げた。

鮮やかな緑。
尾には、黄色から桃色、そして赤と続いている。

すごく綺麗……。





門の外には、おとなしく座っている、猫を見つけた。



「アナタがあたしを案内してくれるの?」



しゃがんで猫を覗き込む。


あれ?
さっきの猫じゃないんだ……。

あたしをここまで連れてきたのは、真っ黒な猫だった。
目は黄金色で……。


でも、今あたしをチラリと見上げたのは藍色の瞳。
毛並みは綺麗な空色。



「……わぁ、キミ綺麗だね。ね、ちょっと撫でてもい?」


手を伸ばそうとすると、こちらを見上げていた猫はツンと顔を逸らした。
しなやかなその体が、グッと伸びて猫はあたしを置いて行ってしまった。

すぐに小さくなって見えなくなる、小さな後ろ姿。



「……ちょっとくらいいいじゃない。 あ、ま、待ってよ!」


普通……猫ってこんな感じだよね。

なんだか可笑しくて、あたしは慌ててその後を追った。


< 35 / 323 >

この作品をシェア

pagetop