WITH


そんな私の頭を、
そっと優しく撫でる啓祐の大きな掌。


あたたかい温もりに、
私の感情は抑えきれず。

涙腺が決壊した――…


嗚咽を漏らし泣きじゃくる私を、
啓祐は何も言わないで、ずっと頭を撫で続けてくれていた。




「……………行く」




……数分後。

落ち着いた私はおもむろに顔を上げて、涙を拭いながら啓祐にそう告げていた。




「ちゃんと、廉と話せるかわからないけど………」




廉を忘れたい……
でも、忘れられなくて。


別の男で忘れようとしても無駄だって……

本当は、ちゃんと気付いてる。


廉の幸せな姿を見れば……
気持ちの整理がつくはずだよね?




「うん、紗和なら大丈夫。
廉が後悔するくらい、キレイになったしね?」




優しい笑みを浮かべて啓祐がそう言ってくれたから、

……きっと大丈夫。


そう思って、私は……
前に進む覚悟を決めた――…



< 11 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop