WITH


最後に聞こえた言葉のすぐあとに、優しく感触を確かめるように重なりあった私と廉の唇。


―――別れるのなら、どうしてキスなんかするの……???


言葉にならない思いは廉に伝わることもなく、だからといって拒否することも出来ず……


離れることを惜しむように長い間合わさったままだった唇も、次の瞬間には離れてしまった。


見上げれば、私以上に悲痛な顔をした廉がそこにいて、伏せられた瞳と私の視線が絡むことはないまま、廉はその場を去って行ってしまった。


追いかけることも泣いてすがることもしなかった私は、“強い女”だと思われるには十分すぎるほどで。


私の傍から廉がいなくなってしまったと実感出来ないまま、私は数日間泣くこともなく、ただただ脱け殻のようになっていた。



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