WITH
一瞬緩んだ晴哉の腕から抜け出て振り返ると、そこには走り寄ってくる廉がいて……
気付けば私は駆け寄って行き、すがるように廉の首に腕を絡めて抱き付いていた。
「廉……」
「……ったく、簡単に連れ去られてんじゃねーよ」
少し怒った口調でも、ギュウッと抱き締めて髪をすくように頭を撫でてくれる廉に安心して、瞳が潤んでいくのがわかった。
「……なんで、ここにいるの?」
「啓祐から連絡あった。
紗和が男に連れて行かれたって……俺、接待蹴って駆け付けたんだけど?」
ホッとしたように嘆息しながらも、優しい声音で説明してくれる廉の温もりに包まれていたら、
「あんたが……、本物の“廉”?」
背中越しに、晴哉の声が聞こえた。