カノジョの死因、他殺。




袖で涙を拭いながら歩いていると





「・・・・・ハル??」





後から聞き馴れた声で呼ばれた。





振り返ると





「・・・・・・亜美」





かつて好きだった元カノがいた。






「・・・・・・泣いてるの??」





亜美が肩に掛けていたバッグからハンカチを取り出し、オレの顔にあてた。






「・・・・・・・亜美、こんなトコで何してんの??」





亜美がピタっと手を止めてオレを見上げた。





「・・・・・・・ハルに会いたくて・・・・・・。 どうしても、諦められなくて・・・・・」





亜美までもが泣きそうになっている。






「・・・・・・亜美、オレ・・・・・振られちゃった」





そんな亜美の顔を見て、オレの涙腺は大崩壊。





コドモみたいにわんわん泣いた。





そんなオレを亜美は優しく包んでくれた。





「ワタシ、その人の代わりでいいよ。 何だっていいよ。 ハルの傍にいられるなら、何だっていいよ。 何だってするよ」






オレ、最低だ。






反射的に亜美に抱き付いていた。






亜美の胸で散々泣いた後






亜美の匂いで心が落ち着いた。
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