先輩と私と。
「......」




百合はさめた目で私を見つめる。





逸らしたいけど、





それはダメだから、





私も必死に百合の目を見つめていた。






負けたのは、百合。




「じゃ」





そうとだけ言って、家に戻ってしまった。






こうなることぐらい想定内だった。






だから、どうするかなんて決めてある。





迷ったりなんて、どうしようなんて思わない。






『山宮』っていう表札の前に、





体育座りをした。





百合が分かってくれるかで、




百合が部活に来てくれるまで、





私はここで待つよ。





何日かかったって構わない。





何週間かかったって構わないから。





夏コンに間に合わなくたっていい。




百合は数少ない低音でしょ?



来てもらわなくちゃ困るんだよ。





だから、





待ってるから、





帰ってきて。




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