先輩と私と。
そこには確かに



“木間”という男子っぽい字がある。




「どっかに、いるね」




「そだね」




梨乃に答えて、あたりを見回す。




「あれじゃない?」




梨乃は、あからさまに挙動不審な男子を指差した。




「あ、そうだよ!!!あの子」




「思ったより小さい」




クスクスと笑う梨乃を連れて、木間くんの肩を叩いた。




すばやく振り向いた木間くんに、




「ご苦労様」




と言う。




「おぉ.....山宮の会場はどこ?」





「今から行くから、着いて来て」




千愛ちゃんの一件であまり印象のよくない木間くんを後ろに連れて、






梨乃と話しながら百合の会場に行く。






「じゃ、私たちここらへんで見てるから」




冷たく木間くんを引き離した梨乃。




到底一緒に見る気などない。





「あぁ」




そういって、もう少し前の席のほうへ行った。











しばらく他中の演奏を聞く。





「うまいんだけど...」




「もともとの才能が違うんだよ」




県のレベルを目の当たりにしてうなだれていた。




「次、百合だよ」




「うんっ!!!」





< 420 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop