あなたと恋した私

るなの過去


【桜真 side】



るなは過去を話してくれた

懐かしみながら、そしてずっと悔しそうに悲しそうな顔で


話し終えたるなは今にも泣きそうな顔をしていた

今のるなは壊れるんじゃないか
失うのではないか、そう思った


俺はるなを強く抱きしめた

強く、強く……存在を確かめるように……


俺はるなに何ができるかは分からない
でも、支えてやりたい


「頑張ったな。」


俺はるなにそう言った

るなは今までの分まで泣くかのように俺の腕の中で泣いた

俺はただ黙って、抱きしめていた







だいぶるなは落ち着いてきたようだ



るなは母親は自分を恨んでる、もちろんお父さんもお兄ちゃんも
と言った


でも、そんな事は絶対ない

るなの父さんも兄ちゃんもるなを守ったんだ
自分の可愛い、娘、妹を守れたんだ。最期に


俺は父親になったこともねえし、兄弟もいねえから
その時の二人の立場の気持ちは分かんねえ


でも、これだけは分かる

守りたかった人を守れて、それで死んでも悔いはねえ
ってことは


親父さんはるなが自分の命より大事だから守ったんだ


るなのお母さんもそうだ
なにより、自分の子どもが大事だ

るなが生きていたことを喜んだはずだ

そりゃ、息子も夫も一度に亡くして辛かったと思う
でも、るなが生きていたことは何よりも救いだったんじゃねえだろうか





だから、るなは自分が生きていることを悔しがらなくていいんだ




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