【短編】ユキと最後のKiss


そこから怯えたような彼女の姿が見えた。

驚いて駆け寄ると、彼女は枕をしっかり抱きしめてカタカタと震えていた。


「どうぞ」


遠慮がちに扉が開く。

そこから怯えたような彼女の姿が見えた。

驚いて駆け寄ると、彼女は枕をしっかり抱きしめてカタカタと震えていた。


「どうしたの?」

「ちょっと、怖くて……」


そっと窓の外を見遣る彼女を見て、漸く分かる。


「一緒に寝ようか」


それを聞けば、彼女はふわりと笑って、小さく頷く。


 彼女が持ってきた枕を僕の枕の横に置くと、一緒に寝転がった。

一人にしてはかなり大きいクイーンサイズは、彼女が隣に寝たところでそんなに狭くなかった。


「おやすみ」

「おやすみなさい」


挨拶を交わしてそっと唇に触れる。

それから微笑みあってそっと瞼を閉じた。


 暫くすると、彼女は寝息を立てて安らかな顔で寝ていた。

それを見ながら、僕も瞼が重くなってきた時だった。



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