I love you~最初で最後の恋~




どういうつもりで先生が私にこれを渡したかは分からない。



でも、お守り代わりに付けてるのも悪くはないかな?と思い水を使う時以外はずっと付けている。



「えーと・・・・・・・増井さん」



名前を覚えていない実習生は座席表を見て当ててくる。



「黄昏ている所悪いけどここの文章読んでくれる?」


「私、教科書持ってませーん」



見ての通り机の上には何も乗っていない。



「授業受ける気あるのかよ・・・・・・・・」



ボソッと呟いた声はしっかりと私には聞こえている。



「ありませーん」



聞こえていないと思っていたのだろう。



驚いた顔が面白い。



「滝川先生~」



助けてと後ろに居る担任を呼ぶ。



「増井さん、実習生がいる間だけでも真面目に授業受けてあげて。内申とかに響くから」


「じゃあ出てく」


「それも困ります」



なによ、担任のくせに生意気。



「分かったよ。先生教科書」



はい、と手を出すと教科書が手に乗って来た。
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