秘密

*その4*

「一応、圭史さんの許可はもらってるぞ。」


ナナがは?と不思議な顔をした。

「今日、ナナを俺のものにしていいですか、って。」
「えぇぇぇ⁉」


ま、普通は聞かないよな。ははは。


「圭に言ったの?何か言ってた?」

「女として生まれてきたのにこのままじゃ生地獄だ。幸せにしてやってくれ。」


メールをまんま読んだ。

ナナは再び涙を流す。


遠回りはもう止めだ。


「ナナ。」


抱き上げてベッドルームに連れて行く。

「嫌なら引っ叩いても噛み付いてもいい。嫌じゃないなら頼むから俺を受け入れてくれ。」

そう言いながらベッドに下ろす。

緊張しているのか、顔が強張っている。

「怖いか?」

「少しだけ。」


熱が出そうだ。

こんなに余裕がないなんて初めてだった。

ナナの胸の膨らみに頬を寄せる。

柔らかな感触。

と。

「すげぇ、ドキドキしてるな、ナナ。」
「翔太さんだって…ドキドキしてる。」

ブラウスのボタンを外し、曝け出す。
自分も上半身裸になってナナを見下ろす。

「綺麗だ、ナナ。」

ふんわり、赤い顔したナナが笑う。

ゆっくり愛し合おう。

遠回りした分だけ、スローペースで。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ふと頭を撫でられる感覚がして目が覚めた。


「あ、」
「起こしちまったか、ごめん。」


あれからどれくらい経ったのかな。

ぐぅ。

「ぶっ!腹が鳴ってんじゃん、ナナ!」
「やだもう…」

だって体力使ったんだもの。

あんな…すごい事するなんて思わなくて。過去の嫌な記憶が全部吹き飛んじゃうくらい、愛されて幸せで。

…っていうか、翔太さん、慣れてる。

当たり前か。だって、取っ替え引っ換えしてたんだもんね。
ちょっとだけ嫉妬しちゃうな。
前に誰かが噂で言ってたっけ。
“井村課長って関係持った女100人は下らないらしいよ”
って。

むむむ。

それ、どうなんだろうなぁ。
ホントのとこ。

でも、いいや。今、この瞬間、あたしを愛してくれたら。

すごいテクニック…だよね?
いちいち言う事がエッチだし。なんか仕草がエロいというかなんというか。

「俺はまたナナを食べたい。」

そう耳元で囁かれて恥ずかしくて毛布を頭まで被る。
またそんなエッチなこと言う!

「もっともっと、ナナの奥に俺を刻みつけておきたい。俺無しじゃ生きていけないくらい。」


ぎゃ〜!エロすぎる!

ひとり身悶えていたら、目の前の毛布をひっぺがされてしまった。


「やぁっ」


シーツに縫い付けられた腕。

上に跨り見下ろす翔太さん。
まだ裸のまま。

逞しい身体。無駄な部分がない。

「あちこちキスマークつけたなー。俺のって証だから。消えかけたら言って。またつける。」



言わないし。

恥ずかしい。

「腹減っただろ。ルームサービスでサンドイッチとか頼んであるから食えよ。

食ったらまた俺としよ。」

さらりと普通に話すこの人って…。


「わぁ、美味しそう!」

空腹には耐えられないから、いただきます!


久しぶりに食事を美味しいと感じた瞬間だった。


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