秘密

もうひとつの恋

「ナナ!おめでとう!」

式が終了して、控室代わりに借りていた部屋に、式に参列していたみんなが集まった。

両親にお互い挨拶をし、友人と歓談する楽しい時間。


友人で唯一呼んでいたのは彩だった。

「彩!ありがとう。でもびっくり、なんで高木くんと一緒なの?」

そう聞いたら、彩が真っ赤になった。

「彩?」
「あのね、ナナ。あたしね、彼と付き合うことになったの。」


離れた場所に居る高木を横目で見るとニコリと幸せそうに笑う。

「びっくりしたけど、お似合いよ、ふたり。」
「ナナもね。ナナのお陰なの。ありがとう。」


あたしの?何かしたかしら。

「出会う事が出来たのは、ナナのお陰。」

あぁ、そう言う事か。

「今度詳しく馴れ初めを聞かせてね。ブーケのご利益あるように、祈ってる。」

幸せそうに笑う彩を見ていて、自分はどうだったかな、と思う。


翔太のことを好きになってから、過去に縛られて苦しかった。


今は笑って言えるけど。


彩は苦しまずに幸せになって欲しいな。

大丈夫か、高木くんなら。


「ナナ。」

歩いてくる翔太を見て。

みんなが幸せになればいいな。

そう思わずにはいられなかった。


< 31 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop