週末シンデレラ番外編SS集


今週の水曜日は、征一郎さんも残業がないということで、夜ご飯を一緒に食べることになっていた。

この春から、征一郎さんは総務部経理課の係長から、営業部営業一課の課長となった。異動して、さらに昇進ということで、周囲からの期待もプレッシャーも感じながら、毎日忙しそうにしている。

NO残業デーである水曜日も残業することが多く、会える時間は減った。でも、征一郎さんが楽しそうにしているので、異動してよかったんじゃないかと思う。

上川くんの直属の上司になるわけだし、そこは少し心配だったけど……うまくやっているみたいだった。

「遅くなって、すまない」

待ち合わせ場所である洋食屋は、駅から少し離れた住宅街にひっそりとたたずむ店。周りを石塀で囲い、こぢんまりとした店内は白と茶で内装が揃えられていて、落ち着いた雰囲気がある。

そこへ待ち合わせ時間から二十分ほど遅れて現れた征一郎さんは、わたしを見つけるなり申し訳なさそうな顔をした。

「気にしないでください。それより、お仕事は大丈夫だったんですか?」
「ああ、大丈夫だ。帰ろうと思ったら得意先から電話がかかってきて、明日来てほしいということだった。新しく契約をしてもらえそうだよ」

席に着いた征一郎さんは水を飲んでひと息ついた。

経理課から数年ぶりに営業部へ復帰。それでも成績は上々らしい。これは上川くんの情報だ。

新しい契約か……今月で何件目だろう。さすがだなぁ……征一郎さん。頑張ってるもんね……。


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