淡い色に染まるとき。
私がもう少し成長すれば、彼の世話が出来る。

ご飯の用意も、お洗濯も、何だってやれる。

今はまだ子供で何もやらせてもらえないけど、今のうちに家事を覚えたくて近所のおばさんや友達のお母さんに教えてもらっている。


今度、試しに朝ごはんを作ってみようかな。

きっと驚くだろうから。いつの間に覚えたんだって聞いてくるかも。



「どうした?」


『何でもないよ』



もし、彼が結婚出来なかったら私が全部やってあげる。


これも内緒。


大人になったら教えてあげる。



「昼飯、そこのレストランで食おうな」



彼の手を強く強く握りしめた。


どうか、遠くへ行ってしまわぬように。


神様にもお父さん、お母さんにも祈るから。


この幸せがいつまでも続きますように、彼が幸せになりますように。



『ありがとう』



私は一歩ずつ、未来に向かって歩き出した。



< 5 / 144 >

この作品をシェア

pagetop