どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


また、帰っちゃうんだ……。

そう思ったら、星野くんは少しだけ私の方を向いて


「じゃあ、」

そう言った。


「うん、またね」


少し寂しく思いながらも私は去って行く彼の背中を見つめていた。



「心ちゃん、俺らもそろそろ帰りますか」


「うん……、星野くん前もあんな事あったけど

何かあるの?」


聞いてはいけないことか、いい事かは聞いてみなければ分からない。

でも本人に聞くよりもよく知っている佐野くんの方が教えてくれるような気がした。



「病気の幼馴染がいてさ、アイツほっとけねぇんだと」

「そっか」


これ以上深くは聞けなかった。

ただ私の心には

チクリと何かが突き刺さったような気がした。




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