シークレット・ガーデン
渚のアデリーヌを聴かせて


(こんな姿を見せてしまって、こちらから誘っているように感じていないかな……)


ーーーそんなつもりはないのに、司のほうは、もしかしたら、授乳する自分を情欲の目で見ているかもしれないーーー


ふと、そんな思いに囚われ、理亜に乳を吸われながら、真彩の頬が次第に赤らむ。


意識して、司の方を見ないようにした。




「渚ちゃん、ピアノ、習い始めたんだね。何か弾けるようになったの?」


授乳が終わった真彩は、そそくさと衣服を直しながら、声のトーンを高くして、渚に訊いた。


照れ臭くて、早く場の雰囲気を変えたかった。


「まだ、なんにもだよなっ。それどころか3ヶ月しか経ってねーのに、もう辞めたいって言ってるし。

せっかく15万も出してデジタルピアノ買ったのに。お婆ちゃんも呆れてたよ」


真彩の問いに渚ではなく、司が答え、缶ビール片手に真彩の隣にドスン、と腰掛けた。


真彩の足元に座る渚は、決まり悪そうな顔をした。


「えっ、渚ちゃんたら、もう辞めたいの?」


真彩は目を丸くした。








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