シークレット・ガーデン


真彩は泣きながら、セミロングの黒髪を揺らして首を横に降る。


…100%自分が悪い。
それはわかっていた。


でも、出来なかった。


「真彩を信用したいから、メールを読ませて」という光俊の要求に応じることは。



「それは、嫌…」


「…どうして?何もないなら、見せれるはずだろ?」


「見せたくない……!」


真彩が涙ながらに答えた時、光俊の口元が哀しげに歪んだ。



パシッ!という音と共に、真彩の左頬に鋭い衝撃が走った。


「きゃっ!」


真彩は弾みでバランスを崩し、よろけて壁に背中と後頭部を強く打ち付けた。


頬が熱く、ジンジンと痛かった。



「……嘘…酷い…」



頬や頭の痛みより、光俊が自分の頬を打ったことの方が、ショックだった。


「ぶつなんて…そんな人だったの…?」



全身が細かく震える。

涙が止めどなく溢れて、光俊がどんな表情をしてるかも見えなくなった。





< 98 / 216 >

この作品をシェア

pagetop