イケメンルーキーに恋をした
「あ、あの!!」
通り過ぎていった先輩の背中に声をかけると、先輩は少し周りを見渡してからゆっくり振り返った。
「俺ですか?」と、自分を指差している。
あたしは岩石先輩と大きくコクンと頷く。
「あの……田尾くん。田尾 蓮くんって、覚えてますか?」
あたしが聞くと、少し距離のある先輩は目を大きく丸め「あ……ああ」と気まずそうに目を泳がせて首を縦に振る。
「田尾くんのことで、聞きたいことがあって来ました。ちょっと、時間ありますか?」
「え……今、ですか?」
「はい」
あたしが答えると、先輩は少し悩みながらも首を縦に振ってくれた。
本当は近くのファミレスにでも入ってゆっくり話がしたかったんだけど、それぞれ持ち金が少なくて断念。
これが、学生の嫌なところだ……。
あたし達は何も気にせず話が出来るように、近くにあった公園に入った。