続・捕らわれ姫




「……ごめんなさい。少し疲れたかも…」


「やっぱり。

 ここはいいから、少し外の空気に当たった方がいい。
 人酔いしたのかもしれない」



兄様の提案に頷いて、テラスに向かうことにした。

私が兄様の隣から離れた瞬間、綺麗に着飾った集団がサッと動く。


一人になった私を、遠巻きに見る人達。

その視線を受けながら、私は真っ直ぐテラスまで向かった。



外に出ると、途端に息苦しさから解放されて。
深く息を吸い、空を見上げる。






今日の私は“木崎 さくら”だから。



けして失敗は許されない。

今こうしてパーティーから抜け出していても、みんな私を気にしているはずだから。



私の、素性を………



< 152 / 204 >

この作品をシェア

pagetop