tender spring

「じゃあ、俺ら行くんで!」

お辞儀をすると、美波さんも希龍さんも手を振ってくれた。

どうしてこのタイミングで会うんだよ。


仲良さ気に歩いていく2人は誰が見たってお似合いで、もう長く付き合ってるように見えた。

出逢ったのなんて、俺の方がたった1日遅かっただけなのに。


「ねぇ、ハル。」

「何?」

「ハル、あの人のこと好きなんだね。」

「…俺そんなに分かりやすいかな。」


由奈はこんなにも簡単に気づくのに、美波さんはずっと一緒にいても気づかない。

っていうか、そういう可能性を考えたことがないんだと思う。

美波さんの中での俺は間違いなく"弟"。

< 27 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop