beautiful love ★ 俺様boyと天然girl
それから数日。

木南さんは、たまにバスケ部の練習を見に来るようになった。

毎日来るわけじゃなくて、来る日もあれば来ない日もあるし、少しだけ見て帰る日もあれば、練習が終わる頃までいる日もあった。

「修原さん」

「ん?」

ドリンクを作っていると、近くに座っていた木南さんに呼ばれて振り返る。

「それ、全部修原さんたちが準備してるの?」

「うん。私と優希でやってるよー」

「大変そう」

「慣れたらそんなでもないよ。優希もいるし」

そう言いながら、ボトルにドリンクを入れていく。

「でも、人数多いね」

「でしょー? だから夏とか大変なの。みんなすぐ飲むから」

「ふふっ」

「ほんとだよー。作っても作ってもなくなるんだから」

そんな話をしていると、コートの方から声が飛んできた。

「水乃ー」

「んー?」

顔を上げると、早手がこっちを見ている。

「タオル」

「そこにあるよー!」

「取って」

「自分で取ってよ!」

「近いじゃん」

「早手の方が近いでしょ!」

早手は面倒くさそうな顔をしながらも、結局自分でタオルを取った。

「もう」

小さく文句を言いながら作業に戻ると、木南さんがこっちを見ていた。

「何?」

「ううん」

木南さんは少しだけ笑ってから、コートにいる早手へ視線を向ける。

「修原さんと早手って、本当に仲いいよね」

「え?」

私もつられて早手を見る。

早手はもうこっちなんて見ていなくて、タオルで汗を拭きながら真澄と何か話していた。

「小さい頃からずっと一緒だからねー」

「そうなんだ」

「うん。家もすぐ近くだし」

「へぇ……じゃあ、ずっと仲いいんだ?」

「うん。まあ、喧嘩もいっぱいするけどね」

「想像できる」

「えー! なんで?」

思わず木南さんを見ると、楽しそうに笑っている。

「だって早手、結構言い方きついから」

「あ、それはそう!」

そこは否定できなくて、私も笑ってしまった。

「すぐバカって言うし、天然って言うし、私のこと子ども扱いするし。ほんとひどいんだから」

「でも、嫌そうじゃないね」

「え?」

思っていなかったことを言われて、手が止まる。

「早手の話してる時、修原さん楽しそうだから」

「…………」

「だから、本当に仲いいんだなって思って」

「あ……うん」

なんとなく恥ずかしくなって、手元のボトルへ視線を戻した。

「まあ……長いからね」

「そっか」

木南さんはそれ以上聞いてこなかった。

付き合ってることは、部活のみんなにも言っていない。

だから木南さんにも、今はわざわざ言うことじゃないと思った。

「おーい、水乃!」

「何ー?」

今度は慎の声が飛んでくる。

「ドリンクなくなった!」

「えぇ!? さっき作ったばっかりなのに!」

「喉渇いた!」

「ちょっと待ってー!」

慌てて新しいドリンクを準備し始めると、その横で木南さんが笑った。

「やっぱり大変そう」

「だから言ったでしょー!」

「手伝おうか?」

「え?」

「何かできることある?」

「大丈夫だよー。木南さんは見に来てるんだから、ゆっくりしてて」

「そう?」

「うん!」

「じゃあ、応援してる」

「そこは手伝ってくれないんだ?」

「え、どっち?」

思わず顔を見合わせて、2人で笑った。

転校してきたばかりの頃は、大人っぽくて綺麗で、少し話しかけにくそうな子だと思っていた。

でも実際に話してみると、普通に笑うし、思っていたよりずっと話しやすい。

だからこの頃の私は、木南さんがバスケ部を見に来るようになったことも、早手と少しずつ話すようになっていたことも、まだ特に気にしていなかった。

むしろ、木南さんともこれからもっと仲良くなれたらいいなって、そんなふうに思っていた。
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