先天性マイノリティ




「墓は、退屈だろ?お前に合わないとは言わないけど」



バイト帰りに無意識に立ち寄る場所。

未だに涙は出ず眼球が妙に乾くようになり、目薬が手放せなくなった。

静まり返った墓地の空気は冷えていて、冬が近づいて来ているのを感じる。

──今年は、今まで人生で過ごして来た中で一番寒い冬になるだろう。

婆ちゃんが死んだ年も寒かったけれど、きっと比べられない程に寒い。

暫くの間、なにをするでもなく墓石と向き合う。

空虚に佇む。

しんとした静寂に溶け込むように。




「お兄さん、辛気くさい顔してますねえ」



聴き慣れた声に振り返る。手にホワイトカラーの花を持ったメイが立っていた。

俺から連絡を絶って約一ヶ月。

ファミレスで会ってから随分と久しぶりのような気がした。

コウの葬儀も、まるで数年前の出来事のようだ。



「死んでるかと思った。あ、お線香忘れた。これでいいかな、代わりに」



ポケットから煙草を取り出して火を点ける。コウがよく吸っていた銘柄。

紫煙が空に吸い込まれていくのを見つめながら暫しの沈黙。

集中に欠ける疑似黙祷を捧げてから、口を開く。



「怒らないんだな、連絡絶ってたこと」


「怒るもなにも、ねえ。私とゼロジの間に友情はないのかなって、ちょっとだけ哀しくなったけど」



墓石に花を添える彼女に、ごめん、と呟く。

俯く俺に対してメイの視線は真っ直ぐだ。



「そうやって謝る癖、いい加減直したほうがいいよ。謝るくらいなら、最初から連絡無視なんてしないで」




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