先天性マイノリティ



宝物にしていた地球儀を幾度も床に叩きつけられ破壊されたような気分に陥っている。

接着剤で修復しようとしても、基の丸さには戻らない。

剥がれ落ちた塗装、飛び散った未来。

熱したフライパンの上で心臓を焼かれるような猛烈な胸焼けが襲う。

葬儀から丸二日、殆どなにも口にしていない。

眼を閉じて浮かぶのは、幾重にもかさなる黒縁に添えられた笑顔。


…固執したら人間は終わり。


以前はそう考えていたはずだった。

それなのにどうだ?このざまは。

狂信的な依存ほど惨めなものはない。

世界は変わってしまった。


かびと無気力だけが繁殖しゆく部屋の中、お情け程度に添えられた日常。

モノトーンを越えた錆色を背景にこれから先、直視出来ようが出来なかろうがお構いなしに日々は覆い被さってくる。

現実が哀しみを通り過ぎ、苦痛も麻痺して空のペットボトルのようになり果てるのだろうか?

テレビを点けても異次元からの中継を観ているようで、弱い者は生きている資格がないと罵られているようにしか聴こえない。

危うい均衡の上に成り立つ地球は無慈悲に切り捨てていく意思を持ったエネルギーの集合体だ。

誰もが、自分の生きている明確な理由もわからずに生きている。

そう考えると人間というものは酷く愚かで浅はかだ。

衣食住を貪る二本脚の獣だ。

忙しなく遠吠えを繰り返す飼い犬のほうが余程人生が充実しているのではないかとさえ考える。


…考えることにより一層、惨めになる。



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